民主主義とジャーナリズム/ジュリアン・アサンジを知っていますか?

すみこと洋子の女の人生劇場。本日はゲストにジェセフ・エサティエさんをお招きして、ウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジを取り上げます。ジョセフさん自己紹介をお願いします。

J: みなさん、こんにちは。ジョセフ・エサティエです。私は日本の民主主義に興味があり明治時代の書き言葉の民主化について研究しています。今日は民主主義とジャーナリズムの関係について触れる予定ですから、とても楽しみにしています。

Y: 今、エサティエさんが民主主義とジャーナリズムについて触れると言われましたが、皆様は、ウィキリークスを覚えておいででしょうか。アメリカ政府がアメリカの国民を欺いて隠していた情報を、インターネット上で解放したジャーナリズムです。創設者のジュリアン・アサンジはスパイ活動の容疑で起訴されイギリスの監獄に収監されていますが、つい先日の11月28日、アメリカのニューヨークタイムズ、イギリスのガーディアン、ドイツのシュピーゲル、フランスのル・モンド、スペインのエル・パイス、この5つの報道機関が共同声明を出して、ウイキリークスの創設者ジュリアン・アサンジへの全ての訴追を取り下げるようにと、バイデン・アメリカ政府に要求しました。

ジュリアン・アサンジ//ウィキペディアの画像からコピー引用

J: はい、これは大きなニュースです。なぜなら、これらの新聞のジャーナリストたちは、これまで一貫して何の発言もしてこなかったからです。特にこの4年間は、アサンジに命の危険があり、言論の自由がおびやかされているのだから、何か発言すべきでした。しかし長い間、どの報道機関も彼を守ろうとしませんでした。しかしやっと、11月28日に、世界で最も影響力の大きい5つの報道機関が、アメリカ政府はアサンジの起訴を取り下げるべきだと共同声明を出したのです。

Y: メディアとアサンジの関係はどうだったのですか。

J: 欧米のマスメディアは、そもそも、アサンジを中傷する記事、歪曲記事、露骨な嘘、などを流して、みんなにアサンジを悪い奴だと思わせる大きな役割を果たしました。

Y: アメリカ政府は、ほかにも、人々が彼をひどいやつだと感じるような噂を流しましたね。例えば彼は女性をレイプしたと。

J: 真相は、警察に相談した女性は、レイプがあったとは訴えていないです。寝ぼけている時に彼が破ったコンドームで彼女とセックスしようとしたと思い、エイズを心配したので、彼にHIVテストを受けさせる力になってほしいと警察に相談しました。性犯罪の告発をしたのはスウェーデンの警察でした。この容疑で10年調べた挙句に何のエビデンスも見つからなくて、取り下げました。

Y: スウェーデンでは性犯罪は親告罪ではないから、被害者が否定しても警察が容疑を告発することができるのですね。性犯罪の容疑が取り下げられた後はどうなったのですか。

J: 性犯罪容疑が取り下げられた後、ヨーロッパやアメリカのマスメディアは、いよいよコアな問題に焦点を当てました。アサンジがアメリカ政府当局の戦争犯罪を白日のもとにさらしたのは事実です。だからこそ、アメリカ政府は、彼を黙らせたい。・・・・・ジャーナリストたちは、自分達の未来がアサンジの運命に左右されることに気がつき始めました。

Y: アサンジの運命ですか?

J: 実際のところ、最初は、アサンジは、アメリカ政府の犯罪を告発する側でした。アメリカ政府は告発されたのです。公表されたあのビデオは、2007年にイラクで撮影されました。米軍兵士たちは、戦闘状態にはなかったにも関わらず、戦闘ヘリ・アパッチから地上を狙い、市民12人を機銃掃射しました。殺された中には、ロイター通信のカメラマンと、その運転手も含まれていました。

誰がその12人を殺したのか?

Y: 道を歩いている人を狙撃して12人が殺されたのですね。それは、現在の国際法のもとで、戦争犯罪として裁かれる性質の行為ですか?

J: そうです。戦争犯罪です。犯罪を裁くことをしないで、事実を公表したジャーナリストを「スパイ容疑」でとらえました。アサンジは犯罪者ではないのに、ひどい目に、あわされています。アサンジは、殺された12人のために正義を求めました。犯罪が裁かれ、正義が行われることを求めたのです。正義を求めることは平和を求めることです。なぜなら、戦争犯罪者が裁かれ、あるいは、罰せられ、あるいは少なくとも再教育を受けるなら、将来の戦争で、将軍も兵士も戦争犯罪に、もっと用心するようになるはずだからです。

Y: ジャーナリストの役割とはなんでしょう。隠された真実を知った時に、それを公表するのは勇気のいることです。

J: 今、インターネットでたくさんの情報にアクセスできますが、真実はなかなか手に入らない時代です。そして、この監視社会で政府は私たちへの監視を強化しています。政府ではなく私たちこそ政府を監視するべきです。アサンジのように一般市民を守る勇敢なジャーナリストがもっとたくさん必要です。彼は、ウィキリークスの発行人であり、内部告発者ではありません。情報提供者と我々との間を仲介したに過ぎない。本来であれば、彼はスパイ容疑で起訴されるような立場にはないはずだとエドワード・スノーデンは言いました。しかし、大国アメリカの罪を暴いた罪で、彼は終わりのない拷問を受けています。アメリカの刑務所に引き渡しされれば、おそらく彼は殺されるでしょう。真実を報道したジャーナリストはアメリカという大きな敵に今にも殺されそうになっています。オーストラリアのアルバニージー首相は、「もう止めよう」と最近言いました。アサンジを見捨てるということは、報道の自由の封殺、ジャーナリズムの死を意味するのではないでしょうか。

Y: 日本のニュースには、なかなか見ない話題でしたが、世界では今、人々はアサンジを解放するべきだと、声を上げ始めています。私たちも関心を持って成り行きを見守りたいと、思います。すみこと洋子の女の人生劇場、本日は、ジョセフ・エサティエさんを招いて、高田洋子がお送りしました。

今日の一曲です。エサティエさんは、植民地主義や、格差社会、自由をテーマにこの曲を選びました。ジャマイカをイギリスから解放するために活動したレゲエのレジェンド、ボブ・マーリーの歌。

「ソーマッチ トラブル イン ザ ワールド」どうぞ。